〔第9回〕 中学入試説明会より(2024.11.6)
先日は、多くの方に「中学入試説明会」にご参加いただきありがとうございました。
日曜日の夜遅くの開催にも関わらず、遠方(大阪)から来られた方を含め、多数の方にご参加いただきました。
感謝の思いでいっぱいです。
会も当初は、我々ひのき塾の職員だけで、小6の子たちには檄を、保護者の皆様には有益な情報をお伝えしようと、例年通りに進める予定でしたが、女子大の副校長である平田先生に「受験を前にした子どもたちにメッセージを伝えてほしい」とお願いしたところ、二つ返事で了解してくださり、ご講演をいただくことになりました。
女子大の先生が語ってくれるのであれば、天王寺のことも誰かに語ってもらおうということで、卒塾生(大教大附属天王寺高校2年生)の橋本君に依頼することになりました。
橋本君は、実際に、算数を大の得意としていた生徒でしたが、その逆で、算数を苦にしている子どもたちの気持ちや今後の算数との向き合い方について丁寧に説明してくれました。
きっと、多くの子どもたちが励まされたことでしょう。
橋本君、ありがとうございました。
一方、私北見は入試社会を10分ほどで説明することになっていましたが、予定終了時刻が迫っていたということと、女子大の平田先生のお話に共鳴、感激し、子どもたちに伝えたい湧き上がる思いを抑えることができず、社会の解説の方が短時間になってしまいました。
申し訳ありません。
参加されなかった方のために、私が平田先生のどの言葉に共鳴したのか、簡単にお伝えします。
「スライドに出てくる主人公(『千と千尋の神隠し』や『ピーターパン』など)に出てくる主人公にはどのような共通点があるかわかりますか?」
「彼らには親がいないのです。」
「親がいないから失敗できたのです。」
「失敗をしないようにと止める人がいない。」
「失敗をするしかなかった。でも、だからこそ、次はどうすればいいのか自分の頭で考えることができた。」
「これが成長です。」
「みなさん、どうか失敗を重ねてください。」
と、このようなお話でした。
子どもたちも感銘を受けたようで、「平田先生にメッセージを送ろう」と希望者に呼びかけたところ、実に多くの子どもたち(小6)が紙面にびっしりとその思いを書き綴ってくれました。
預かったメッセージはすべて平田先生に渡します。
名前を覚えていてくれて、女子大入学後に先生から声をかけられたら嬉しいですね。
さて、日頃から子どもたちには「自分でできることは自分でしなさい。自分ではどうしようもないときに親にお願いしなさい。」と話しています。
女子大の先生からも異口同音にいただいたことをありがたく思っております。
自分でできることは自分でする、自分の頭で考える、自分一人で行動する、自分の言動に責任をもつ。
受験に向けて、いかに自分と向き合い、自分を成長させ、中学校が求める生徒に近づけたか。
そんな自分のありのままの姿を見てもらうのが受験です。
自分のことを自分でするからには失敗はつきものです。
転ぶのも必然です。
それゆえ、転んでも「起き上がっておいで」と自分の力で起き上がれるよう励まし続けることが、我々の役割だと認識しております。
話は飛躍してしまうかもしれませんが、戦争をなくすにはどうすればいいか。
話を聞いて感想を書いても一向になくなるとは思えません。
戦争以外の道はないのか、どんな対話ができるのか、どんな技術革新があれば相手の求める社会に協力できるのか。
決して「戦争反対」を唱えるだけではなく、多くの選択肢や可能性を模索できる、思考力のある子どもたちを世に送り出すことが、次世代に託す反戦平和の形であると私は考えています。
平田先生は、先述の言葉だけでなく、それ以外にも大切なメッセージを子どもたちに残してくれました。
「難問を見て、そのまま呆然として何も書かないか、何度も何度も書いたり消したりと立ち向かってくるのか。そういうところを見ています。」と。
これは奈良女子大だけでなく、すべての学校の先生が求める生徒像と言えます。
情報を得て、対策を練って、上手に無駄ななく合格することとは対照で、がむしゃらに、泥臭く、涙や鼻水を垂らしながらも必死に何かを求めようとする、不器用でもいいから真っすぐな生徒を求めているのは、今も昔も変わりません。
(小学生の)みなさん、受験を通して自分と向き合い、自分を高める努力を怠らず、目の前のことに全力を注ぎみましょう。
合格は、いや「感動合格」は、きっとその先に待っていてくれます。
〔第8回〕 「保護者様の受験記より」(2024.10.8)
ここ数年、ひのき塾に若い先生が多く入社しました。
それゆえ、職員の平均年齢も年々若くなっています。
私は平均年齢を押し上げる方に加担しており、気づけば、上から数えて数番目という位置にいます。
そんな私の役割の一つが若手職員の育成です。
子どもたちと共に日本を背負っていく若い先生方が、この素敵な仕事に更なる魅力を感じ、自身の社会的役割に気づいてもらええるよう導くことが今の私の役割です。
社員教育の一環として、若い先生方に読んでもらっている文章があります。
3年前に中学入試を終えたお子様をもつお母さまの「受験記」です。
受験を終えられた保護者様には「受験記」を書いてもらっておりますが、どの方も本当に心のこもった温かいメッセージを寄せてくださります。
時に目頭が熱くなるような思いを語ってくださるものもあります。
今回、ここでご紹介する保護者様の「受験記」は、以前、奈良教室ブログに掲載させていただいたものなので、もしからしたらご覧になられた方もいらっしゃるかもしれません。
「このまま中学受験を迎えて大丈夫なのか」、「子どもにもっと勉強してもらいたい」など、受験までの道程でやきもきされる保護者様も少なくありませんが、そんなときに励みなるのが受験を終えられた保護者様の「受験記」です。
どうぞ、ご一読ください。
★★★★★ここから★★★★★
中学受験。それは、わたしたち夫婦が経験したことのない、本当に未知の世界でした。
娘から、「地元の中学じゃないところに行きたい」というのがきっかけで、どんな中学があるのかあまり知らないまま、「じゃあ中学受験しようか」と軽い気持ちで受験を決めました。
娘の性格から、長くは続かないだろうとも思っていましたし、受験の大変さを分かっていなかったので、ポーンと受かってくれるだろうと本当に軽い気持ちでおりました。
小5の春、ひのき塾にお世話になり始めましたが、通い始めてからの娘の熱量に驚かされました。
早い段階から授業はもちろんですが、復習をみっちりするような勉強法に変わったように見えました。
あとは宿題です。
忘れることなく、きちんとしていました。
わからない問題は、早めに塾に行き、質問をしているようでした。
今までの娘の様子からは想像のつかない取り組みようでした。
「勉強が楽しい」と言うくらいでしたし、通わせてよかった、このまま志望校にも難なく受かるねと親子そろって笑いあっていました。
しかし、テストや模試を受けるとその笑いは崩れていきました。
ようやく気づいたのです。
そんな簡単なことではないということを。
テストを受けては、びっくりするような点数をとり、模試では志望校の合格判定が常に最低ランクで、第2志望も合格判定はもらえない状況でした。
「やっぱり受験やめるわ」と言い出さないか、どちらかと言えば言ってきてほしいとも思いましたが、娘は「絶対に諦めない、絶対にやめない」と言いました。
そんな娘の姿に、どんな結果になったとしても寄り添おうと決意したものでした。
6年になり、授業のない日も塾に行き、自習をするようになりました。
必死に授業や問題に食らいついていましたが、精神的に辛かったのか、学校での様子も歪み、担任の先生と面談をもつこともありました。
「こんな状況でどうするの」と、娘とも夜遅くまで話し合い、気持ちを確かめ合ったこともありました。
何でも、適当でもそつなくこなせていた娘の、人生最初の挫折だったのかもしれません。
娘を奮い立たせる思いがどう湧き出てきているのか知りたくなり話を聞きました。
娘はよく先生と話をすると言いました。
勉強の方法や、苦手なところを的確に指摘をしてもらい、その分野を中心にやる。
先生が親身に話を聞いてくれて、大丈夫だと励ましてくれる。
信頼関係が成り立っていることで、それを拠り所とし、難しいことへも挑戦できるのだと思いました。
わたしたち家族は送り迎えや食事のこと、健康管理しかできません。
「小学校受験は親の受験」、「中学受験は家族の受験」と聞きますが、家族一丸となって受験を迎えました。
一校目は追加合格者の欄に番号はありましたが、連絡はありませんでした。
頑張ればいけるかもしれないと言われていた学校でしたので、現実を突きつけられたような気持ちでした。
第1志望の学校の受験後、娘は晴れ晴れとした笑顔で校舎から出てきました。
「楽しかったよ」そうか楽しかったのか。
それは、自分の力を出せて後悔がない、だから楽しかったのね?と問うと「うん」と答えました。
一度きりの中学受験で自身の力を出せたこと、それは奇跡以外のなにものでもありません。
もちろんわたしたち家族はいい結果しか想像していませんでした。
ですが、結果は不合格で本人も含め家族皆の落胆は計り知れませんでした。
努力は必ず報われる。
その思いでいましたので、娘の気落ちをどう次に向かわせようかと夫婦で思案していると「次こそ決めるから」。
私たちの心配を他所に娘の気持ちは強く、その成長に驚かされました。
今となっては、このタイミングが、娘の最強スイッチが入った瞬間だったのかもしれません。
次に受けた学校に合格し、今まで泣かなかった娘が安堵の涙を流しました。
その涙はとても美しく、感動合格の先に一番見たかった瞬間でした。
今は、受験の重圧から解き放たれ、自由に過ごしています。中学に入る娘のこれからが本当に楽しみでしかたありません。
★★★★★ここまで★★★★★
子どもたちの望みと保護者様の願いは同じです。
子ども一人と相対するということは、その子を応援するご家族が後ろにいらっしゃるという意識を持つこと。
「この先生ならわが子を任せられる」
と保護者様が感じられたとき、お子様はその思いを感じ取ります。
「いい先生に教えてもらっているんだ」という自信と誇りを持てるようになります。
すると、目指す方向がくっきりとした一筋の線となり、お子様は迷うことなく一本道を歩むことができます。
こうして、生徒・保護者・先生の三位一体が「感動合格」につながるのです。
目の前にいる子どもたちだけでなく、見えない人のことも想像する。
そこには数限りないドラマが広がっているでしょう。
そして、ドラマの筋書きは、私たちの熱意のあるなしによって、良くも悪くも書き換えられます。
このような話を若い先生たちに伝えています。
〔第7回〕 「大きく思い小さく動く」
「私の使命は、目の前の子どもたち全員を合格へと導くこと。」
「私の仕事は、受験を志す子どもたちと合否の扉の手前まで一緒に歩いて行くこと。」
時折、小6の子たちに語る言葉です。
「今、君たちの目の前にいるということは、なんとなくいるのではない、惰性でいるのではない、生活のためにいるのではない、子どもたちの人生を切り拓きたいと思い君たちの前に立っているのだ」ということを(熱く)語ります。
人生を俯瞰しても、小6という学年は、子どもから大人への第一歩を歩み始める最も大切な時期だと言えます。
その時期に、「(子どもたちは)だれと出会い、どのようなことを教わり、価値観を揺さぶられ、その熱量に心を動かされるのか」、そんなことを考えながら彼らの前に立ちますので、教える側にも決意と覚悟が必要です。
そして、私たちが覚悟をもって臨めば、子どもたちも「よし、やってみよう」と目の前の課題に正面から取り組んでくれます。
「子は親の鏡」と言いますが、長い時間子どもたちと共に時間を過ごしている私たちにとっては「子は先生の鏡」です。
私たちが本気であることを伝えられれば、子どもたちは動きます。
私たちが手を抜いたら、子どもたちは手の抜き方を覚えます。
そのため、子どもたちと対峙するときは、彼らを上回る熱量で臨まなければいけないと思い、授業時間のみならず、授業前後の自習時間も、範を示すつもりで背筋を伸ばすようにしています。
冒頭のように全体には大きなことを語りますが、授業前後の時間はできる限り個々との対話に心掛け、小さなことを語りかけます。
「久しぶりだけど体調はどう?」「最近、自習時間が増えてきたな。」「今日は学校が早く終わったの?」など、軽い声掛けから始まり、宿題チェックや生活面では、「韓国の韓は、『口』と『ヰ』をくっつけなさい」、「左手でノートを支える」などと、細かいところまで指示しています。
どれだけ小さいことに気づき、それを見逃さずに個々に指導できるか。
小さなことを指導することで、まず学習姿勢が丁寧になります。
その丁寧さが、自分の学習に対する責任感となり、成長すれば社会に対する責任感へと転化していきます。
学習成績が芳しい子であっても、その子なりに抱えている課題や、気づいていない課題があります。
だから、指導やアドバイスは個々によって違いますし、小さなことを見過ごさないように日頃から気を張っています。
だた、意識を子どもたち全員に向けるので、(タイミングが合わず、もしくはきっかけを掴めず)どうしても声を届けられない時もありますし、抜け落ちてしまうこともあります。
これが私の課題です。
そのときは正直に反省し、次回は確実にやろう、次に会った時はどのように声をかけようかと、数日前から考えています。(子どもたちがこの文章を読んでいたらネタばれですね)
小さいことに気づき、小さいことを指導する。
すると、大きな集団になっても、みんな同じ山に向かって歩いていることを感じるはずです。
(山を登った後の見える景色はそれぞれ違うと思いますが。)
もう一つ。
私には「夢」があります。
先述の「使命」や「仕事」は、私の「夢」を具現化するための通過点であり修行の場です。
そのことについて少しお話します。
子どもたちに「夢を持て」という言葉には昔から違和感がありました。
私たち先生は、子どもたちに範を示してこそ先生です。
その先生が夢を語らずして、子どもたちに夢を語れというのは、いささか傲慢に思えていました。
よって、ある時から、まずは自分が夢を語るようにしました。
夢を持つのは子どもたちの専売特許ではありません。
私たち大人にも、今までの経験を糧とした、より壮大な夢があります。
それを子どもたちに語るのです。
大人が夢を語る姿を子どもたちの心に焼き付けたいのです。
人生折り返しを過ぎても、挑みたい世界があり、そこに拡がる見てみたい未来の景色があります。
そのことを伝えることで、私たち大人の夢は子どもたちに引き継がれ、さらに子どもたちが壮年期に差し掛かったとき、これからも自分の人生を燃やそうと魂を輝かしてくれることでしょう。
私が子どもたちに夢や未来を語るのは、子どもたちにタイムカプセルを預けるようなものです。
30年後、50年後、そのカプセルを開ける日が来るかもしれない。
そんな未来への仕掛けです。
私の夢。
今、この場で書くことは、あまりにも非現実的すぎるので控えさせていただきますが、子どもたちの前では、その夢を本気で語っています。
そんな私の無謀な夢を子どもたちは温かく応援してくれています。
仕事をしながらも心が癒される瞬間です。
〔第6回〕 「推しの25」
本年度、私はひのき塾の社会科代表を務めています。
受け持っている授業は、小6社会、表現社会、算数、小4算数です。
その小6表現社会の授業の一コマをご紹介します。
ある教室の表現社会の授業で、少し時間が余ったため、「推しの25」というワークを子どもたちにしてもらいました。
5×5の25マスに、自分の「推し」(好きなもの)を埋めていきます。
真ん中には「最推し」を1つ。
その周りの8マスには2番手につけるもの。
周辺部の16マスには、とりあえず好きなもの。
このワークが子どもたちにはおもしろかったらしく、ワイワイと楽しんで書いていました。
「最推し」で一番多かったのは、マンガやアニメ、そのキャラクターです。
みんな二次元が大好きですね。
あとは、キャンプや鉄道などの趣味、他に、「布団」、「パン」、「姉」など実在するものや人などがありました。
その隅っこに、「北見先生」と、数名が書いてくれていました。(笑)
ありがとうございます。
25マスすべて埋められたら、用紙下段の「『最推し』を熱く語りましょう」という欄に移ってもらいます。
幅わずか3~4cmほどの枠ですが、みんな、小さい字で、ビッシリと熱い思いを披露してくれました。
とてつもない表現力です。(笑)
最後は、回収した用紙を縮小コピーにかけて、みんなで共有です。
私は、この共有をよく取り入れてます。
他の人が大切にしていることを第三者として理解することが、共存共栄社会の大前提になるからです。
そして、周りの人のいい意見は、どんどんと自分のものにしようとも伝えています。
自分一人では気づけなかったことを教えてもらい、自分の世界観を拡げ、それを参考にしながら自分の新しい世界を築くことにつなげていくのです。
普段の授業から良好な仲間関係を維持していれば、周りの人の意見も案外スッと自分の内側に入ってくるものです。
その環境づくり空気づくりは、私たち教師の仕事です。
さて、「推しの25」では、好きな色、好きな食べ物、好きな文房具、好きな数字など、好きなものをたくさん書いてもらったのですが、そのなかで私がもっとも嬉しかったのは「算数」をどこかに書いてくれた子が多くいたことです。
国語や理科、社会(「歴史」と書いた子は結構いました)という語句はほとんど見受けられなかったのに、「算数」という文字は随所に見られました。
それは、算数を得意とする子たちだけでなく、苦手意識を持っていた子たちの中にも同数くらいいました。
これはどういうことでしょうか。
算数という教科は、自分との対峙、静寂な時間を思考に費やす喜び、PDCAサイクルの繰り返し、そうして辿り着いた正答に対する達成感、これらが凝縮している教科です。
子どもたちは、授業を通して、また宿題を通して、これらのことを体感しているからだと言えます。
算数に浸る時間は、贅沢で優雅なひとときでもあるのです。(言い過ぎかな…)
だからこそ、私たちは、教えすぎないこと、自分の力で考えさせることに注力した指導を心掛けていますし、そうでなければいけません。
たとえその場ではわからなくても、1つの問題に真剣に取り組めば、その問題が頭のどこかに残ります。
すると、日常生活のふとした場面で、急に解答への道筋が閃くことがあります。
休憩時間に友だちと遊んでいるとき、学校からの帰り道、お風呂に入っているときなど、心がリラックスしているときに閃くことが多いように感じます。
保護者の皆様も学生時代にそのような経験をされたことがあるのではないでしょうか。
「どんだけ考えてもわからなかったら、一旦、飛ばして、次の問題にいきなさい」と私も子どもたちにはよく言いますが、上記の経験をした子たちはその真意を理解してくれています。
「ふとしたときに、答えが浮かんでくるもんだ」と付け加えると、多くの子たちが「うん、うん」と首をタテに振ってくれます。
そして、閃いた道筋をもう一度紙面で試してみる。
合ってた!
この喜びの積み重ねが、子どもたちが大人になったときに、生きる糧、生きる自信という財産になります。
小4、小5は、そのステージに引き上げるための準備段階です。
何事も一足飛びには進みません。
小4では、ノートを丁寧に書き、規則正しい生活のなかで宿題をする。
小5では、小6に向けて1人でできることを増やしていく。
小6では、自分と対峙する時間をたっぷりと取ってあげる。
算数を通して、子どもたちが大人になるお手伝いをするのです。
「推しの25」、ご家庭でもやってみませんか?
結構、盛り上がりますよ!oshino25
〔第5回〕 大教大附属天王寺中学・高校に通う先輩からのメッセージ
今回は大教大天王寺に通う2人の生徒さんからのメッセージを紹介します。
中3の辻本さんには大教大天王寺の魅力を、高2の藤原さんには受験当時の気持ちを書いてもらいました。
彼女たちは、学年や所属教室は違うのですが、2人にはある共通点があります。
自分と向き合い、自分を高めるためには何をするべきなのか、と自問自答する姿勢が普段の生活に現れていたということです。
では、早速、彼女たちのメッセージをご覧ください。
大教大附属天王寺中学3年 辻本心優
大阪教育大学附属天王寺中学校(以下、天王寺)3年の辻本心優です。私は受験生のとき、時折、自分が天王寺に通う姿を想像して、受験勉強のモチベーションを保たせていました。受験生の皆さんが、より自分が天王寺に通う姿をイメージしやすくなるように、皆さんの一助となれるように、天王寺の魅力をお伝えしようと思います。
天王寺を一言で表すと、ずばり「自主性が自然と伸びていく学校」です。では、具体的な天王寺の魅力を3つ程、紹介します。
1つ目は、自由研究です。天王寺では、自分がやりたいテーマで3年間、自由研究に取り組みます。研究テーマは、生物や化学などの理科系や心理学系、歴史系など多種多様です。テーマごとに学年混合で、担当される先生のゼミに分けられます。ですが、研究は自分自身で自主的に進めていく必要があります。
2つ目は、コンクールに参加する機会が多いことです。授業の一環としてコンクールに挑戦することもあれば、夏休みといった長期休業期間中に課せられることもあります。短歌、俳句、物語づくり、読書感想文、統計グラフコンクールなどがあり、新たな自分の一面を知れる良い機会です。
3つ目は、行事が多いことです。附中三大行事と呼ばれる体育大会、学芸会、音楽会にとどまらず、宿泊行事は各学年に1回あり、マラソン大会や遠足などもあります。附中三大行事は生徒自身で動かしていくものになります。特に学芸会では、劇の脚本から、監督、キャスト、小道具、照明など全て生徒で作り上げていきます。また、宿泊行事では、どの学年も、山に登ったり討論したりするなど心身ともに鍛えられる内容になっています。特に3年生で行く乗鞍方面への5泊6日の修学旅行は、生徒の人生観を変えるほどの影響力があります。
その他、天王寺は生徒も先生も、色々な人がいて面白いです。小学校では知り得なかった本当に個性豊かな人ばかりです。はじめに言った通り、天王寺は「自主性が自然と伸びていく学校」です。ですが、どれだけ伸ばせるかは自分次第であり、その人自身の過ごし方で天王寺に通っていることの価値が、将来への結びつき具合が、変わってくるのも、ある種の魅力ではないかと思います。と、このように天王寺にはたくさんの魅力があります。これ以上は、天王寺に来てからのお楽しみです。
最後におまけですが、中学生になってから実感する天王寺の良いところもご紹介します。まずは、学校が駅にとても近いことが挙げられます。JR寺田町駅から徒歩2,3分で着けます。これが意外にも、学生にとって重要なポイントです。
また、いわゆる定期テストが学期に1回だけであるところも良い点です。テストの回数が少ないので、部活動や習い事など、自分のやりたいことに打ち込める時間を十分に確保できます。
受験生の皆さん。もう夏休み目前ですね。小学6年生のときの夏、私はがむしゃらに勉強にのめり込んでいました。当時はまだコロナ禍で、夏合宿ができなかったのでKST(夏期スペシャルトレーニング)と題して夏休みの3日間、郡山本部教室ないしは上本町教室に通って、そっくり模試をしたり合格ったるねんカップをしたりしました。私はその時の模試で悔しい思いをして、残りの休みを勉強にめいっぱい費やしました。
それでは皆さん、是非全力で受験勉強に励んでください。受験勉強で身につけた知識も力も、中学校生活、またその先まで活きていきます。気負いすぎず、頑張ってくださいね♪
大教大附属天王寺高校2年 藤原奈桜
私は、小学5年生からひのき塾に通いました。
ひのき塾で学んだことは沢山ありますが、「どんなことも真面目に取組む力」「諦めずにコツコツ努力を続ける力」この2つの力をつけられた事で、今の自分があると思っています。
ひのき塾では、多くの宿題が出されましたが、当時の私はこなすのが精一杯でした。宿題の中でも算数は苦しみました。解法がわからなくてなかなか前に進めなかったり、イライラして泣いたりすることもありました。しかし、そのような時は、先生に教えてもらう会を開いてもらったり、何度も根気強く提出したり、と自分なりに解決する方法を見出して頑張りました。
私は、ひのき塾と、そして先生方に出会ったことで、自分の可能性を大きく広げることができたと思っています。目の前の課題に精一杯向き合えば、すぐに結果が出なくても、いつか努力は実を結ぶということを、身をもって感じました。この体験は、今、勉強だけでなく学校行事、課外活動にも活かされています。これからもひのき塾で身につけた力を活かせるよう高校生活を過ごしていきます。
藤原さんは、現在高校2年です。
先日、彼女と話をしたところ、進路は、高校生向けプログラムに参加するなどした、関西の有名国立大学(2校)のどちらかで悩んでいるそうです。
しかも、推薦枠を狙えるほど学業も安定しているとのこと。
コツコツできる、気分に流されない、決めたことはする、納得いくまで考える。
小6のとき、受験勉強を通して培った力が、中学、高校進学後にも大いに活かされていることに、(想像はできていましたが)生涯に亘る財産とはこのことだと実感させてもらいました。
【卒塾されたみなさんへ】
みなさん、元気にしていますか。
ひのき塾で過ごした濃密な時間を、時折、思い出してくれていますか?
誰一人として、自分の状況から逃げることなく、受験に立ち向かっていった姿がとてもかっこよく、どの子も尊敬してやみません。
みなさんは、私に自信を持たせてくれる存在であり、ひのき塾の財産であり、日本の至宝です。
それぞれの人生を歩み始めた、そんなみなさんにお願いがあります。
みなさんのメッセージをこちらに送っていただけないでしょうか。
今回の天王寺の子たちのようにHP掲載や、在塾生へのメール配信などで、これから塾で学んでいこうとする子どもたちや保護者様にみなさんの思いを伝え、是非とも励ましてもらいたいのです。
・受験の時の思い。
・今の学校での自分の様子。
・将来への夢や思い
など、主題は何でも構いません。近況報告でも構いません。
所属していた教室、年齢、現在の学校(私立も公立も)は問いません。
元気に過ごしている姿を是非とも教えてください。
LINEやメールでのご報告をお待ちしております。
※お名前や現在の所属もそのまま掲載させていただきますが、どうかご了解ください。
〔第4回〕 テストの位置づけ
唐突ですが、保護者の皆様に質問です。
「テストはなぜ受けなければいけないの?」とお子様に質問されたらどう答えますか。
私は教師生活30年になりますが、今まで子どもたちに質問された記憶がありません。
友だち同士で、もしくはご家庭で、そういう質問はあったかもしれませんが、面と向かって訊かれたことがないのです。
それでも、答えは用意しています。
「自分を信じるための道具だよ。」と。
いい点を取れた子は、自分の今の能力に核心を持ちます。
いい点を取るために、事前の準備を丁寧に積み重ねてきた子は、自分の継続力に自信が持てます。
いい点ではなかったものの、前回よりよかった子は、自分の生活や意識を変えたことが好結果を生んだのだと気づきます。
いい点が取れなかった子は、それでも問題用紙を見ると、惜しいところがたくさんあったりします。
前回より大きく下がってしまった子は、その原因を確認し、次善策を一緒に考えます。
テストが何のためにあるのか、その説明は抽象的で難しくとも、テストを通して自分の生き方に自信を持ってもらいたいと思っています。
そのために私たち教師は子どもたちを励まし続けています。
また次もテストを受けたいと思ってもらいたい。
そして、子どもたちによりよき道を歩んでもらいたい。
子どもたちの可能性の幅を拡げるのがテストです。
きちんとテスト勉強をしてこなかった。
そんなときは、誰でもテストを受けるのが嫌であったり、受けたとしても結果が返ってくることに不安を覚えていることでしょう。
テストが楽しみという子はそれほどたくさんいないと思います。
それでも、子どもたちはテストを受けてくれるのですから、返ってきた結果、しかも、その数値だけを見て、私たち教師が子どもたちに説教をするのでは教えるプロとは言えません。
(むしろ、反省すべきは私たちの方かもしれません。)
テストは、受けてくれるだけでもありがたいものです。
ならば、どのような結果であれ、「次も受けたい」「次こそは頑張りたい」と前を向いてもらえるように、テスト結果を見ながら具体的にアドバイスをしていきたいと常々思っております。
おそらく、今の子どもたちも、(多少、形が替わるでしょうが)中学・高校・大学・就職・資格・昇進…と幾多の試験に臨む人生を歩んでいくのでしょう。
だからこそ、テスト人生の始まりと言える小学生のうちに、テストは自分の能力を伸ばす前向きなイベントと捉えてもらいたいのです。
さて、ここからは具体的な話です。
ひのき塾の塾生が受けるテストは、主に以下の4つです。
①単元テスト(小テスト)
②実力テスト
③そっくり模試
④駸々堂学力テスト
どのように臨むべきか、簡潔に箇条書きします。
①単元テスト(小テスト)
・範囲が狭いため、事前に学習を進めやすい。
・毎回の単元テストを丁寧に取り組むことにより、範囲の広い実力テスト勉強で困らなくなる。
・単元テスト開始まで、直前を含め、準備に励む姿勢を身につける。
・単元テストを通して、テストは時間との闘いであることを意識づける。
・わからなかった問題、不安な問題は、テスト後すぐにテキストなどで確認をする。
・間違えた問題は全て解き直す。 ※保護者、先生に質問してもいい。
・小テストは、ファイリングする、ノートに貼付するなど、振り返りのために取っておく。
②実力テスト
・クラス替えの判定材料にもなるため、多くの子が力を入れるテスト。
・テスト1か月くらい前にテスト範囲が掲示されるので、まずはそれを書き写す。
・テスト範囲を書き写しながら、1か月で何をすればいいのか作戦を立てる。
・初めの2週間は、算数の解き直しを進めてみる。
・後の2週間は、(小5、小6の場合)暗記の多い理科や社会に注力する。
・テキストの演習問題を使うのか、授業ノートやプリントで進めるのか、方法を事前に決めておく。
・テスト当日は、30分ほど前に入室し、最終確認をする。休憩時間も然り。
・国語は、すぐに答えを出せる漢字や語句を初めに解く。
・算数は時間との闘い。前半の計算や基本問題をどれだけミスなく、時間効率よく折り返せるか。途中式を書き残すこと。
・理科、社会は用語を問われることも多いので漢字をしっかりと覚えてくる。
・記号問題は、どれを選んだのか、どれは違うと判断したのか、必ず印をつける。そして、必ず埋める。
・人が採点するので、粗雑な字を書いていないか気を付ける。
・個票を受け取るまで期間が空くので、準備にフォーカスしたテストであると捉える。
③そっくり模試(小5、小6)
・事前のテスト対策がしづらいテスト種。内容も難しめなので事後の振り返りに力を入れる。
・塾外で受験するので、腕時計を忘れないこと。
・受験のあったその日のうちにYoutube動画を視聴する。
とくに国語と算数は何度も止めて理解を優先する。
・10日~14日後に個票と答案用紙が返ってくるので、返却後、もう一度Youtube動画を見ながら自分の答案用紙に模範解答を書き入れてみる。
・入試直前に解き直すと効果的(小6)なので、こちらもファイリングしておく。
・難しい問題が多いが、難しいことにチャレンジすることで、それまで難しいと思っていた問題が簡単に解けることもある。
問題数が限定されているので、解き直しに注力する。
④駸々堂学力テスト(小5、小6)
・多くの問題が既習単元をもとに作られているので、他会場でのテスト慣れだけでなく、やり直しをすることで、素早く復習ができる。
・塾外で受験するので、腕時計を忘れないこと。
・テスト当日までのテスト勉強が今までの復習となる。
・駸々堂HPより塾コード(G06400)を入力して申し込んでくだされば、当塾も申込確認ができるので、1年前の過去問をお渡しします。
事前練習にご利用ください。 ※〆切近くで申し込まれた場合は、その旨を教室担当にお伝えください。
・テスト終了と同時に模範解答が配布される。持ち帰った問題用紙と照らし合わせて自己採点(当日が望ましい)をする。
そのため、受験時間内に、問題用紙に自分の答案を書き写さなければいけない。
・自己採点のあと、気になる問題、解けそうで解けなかった問題など、個々の状況に合わせてやり直しをする。
この作業が駸々堂の最大の利点。自己採点・やり直しをその日のうちに終わらせることで、翌日からは普段の学習に戻れる。
・志望校判定は参考程度にする。
・偏差値も同様。良ければ喜び、思わしくなければ次善策を立てる資料と捉える。
他にも、テストの受け方など、子どもたちに伝えたいことはたくさんありますが、それは、テストという現場で(子どもたちに)繰り返し伝えていきます。
【ひのき塾 北見の教育エッセイ】
〔第3回〕 奈良女子大附中の生徒会長より
※今回、ボリュームが多くなります。ご了解ください。
奈良女子大学附属中等教育学校3年、前期生徒会長のA(←寄稿時は実名)です。私はひのき塾に小5の冬から約1年通い、奈良女に合格しました。
私が今生徒会長をしているのは、北見先生が「生徒会長なったら?」と一言言ってくださったのと、ひのき塾生で当時女子大の生徒会長だった先輩が生徒会や学校生活について話をしてくださったことがきっかけとなっています。こんなにも自由で楽しそうな学校で生徒会長をしたら何ができるのだろう、どんなに楽しいことが待っているのだろうと、受験生時代から生徒会長を志していました。
奈良女は生徒の自主性を重んじる校風な為、多くの行事を生徒が計画、企画、運営します。私は入学当初から生徒会長になるなら「仕事ができることとリーダーシップがあることを示し、学年で目立つ存在にならないと!」と、様々な行事の運営に携わってきました。今思えば、入学当初からそんな風に計画する必要はなかったと思いますが、その経験から自分の力を伸ばし、成長することができました。
私が「自分の長所は?」と問われたら、いつも真っ先に思い浮かぶことがあります。それは、論理的思考力です。そしてこの力のルーツが、ひのき塾での表現社会、論述です。
表現社会での論述課題は、時事問題や社会問題について自分の考えや、新たな対策を考え文章にするというものです。ここで私は、自分の頭の中を文字に書き起こし、問題解決に向けて筋の通るように組み立てて文章化する力を身に付けました。これは受験が終わってからも変わらず、今でもなにか課題や問題について考えるときに自分の意見を組み立てる根幹となっています。
ひたすら考えを書き起こして問題解決を試みる方法は、先ほど述べた行事の運営や生徒会での企画作りに大いに役立っています。一つの課題から、その原因、原因を取り除くための策、メリットなどを考えどんどん紙上で展開していく。そして今自分たちがするべきことを見つけていく。この力は受験や学校だけでなく、この先ずっと必要になると思っています。そして、それを伸ばすためのカリキュラムは学校自体にも多くあります。しかし、その力を入学前に塾で拙くとも身に付けられたことによって、学校での企画運営などでさらに力が伸び、自分の成長に貢献していると思っています。
ひのき塾で、ただ知識や入試に向けてのテクニックを教わっただけとは思いません。当時、将来についてたくさん考え、先生たちと対話し、同じものを目指す同志の熱を感じたことで、今の自分や学校生活があると思います。もちろん授業や模試の結果も大事ですが、受験生として、塾という(ある意味)日常とは違った特殊な空間で過ごす、すべての瞬間が、ふとしたきっかけで将来に繋がり、自分を形成する大事な部分になると、身をもって体感しました。人生の長いスパンにおいて、中学受験に向けて塾に通う受験生の期間は長くても3年ほどですが、その時期に自分にとって大切な力や視点が見つかると思っています。それを更に磨くのが(受験した結果)入学した学校なんだと思います。
受験勉強のきっかけは、「志望校に合格したいから」かもしれませんが、塾に通っていたら自然とその学校が必要とする人材になっていくのではないかと、振り返ってみて気づきました。
奈良女子大学附属中等教育学校3年 A
~ここより北見の執筆~
私がひのき塾で勤め始めて9年が経ちます。
思えば、結構早い段階で、「この塾でなら、自分の思い描く教育ができそうです」と塾長に話をしたものです。
「思い描く教育」とは何か。
子どもたちは千差万別のため、一つの言葉でお伝えすることは難しいのですが、私の根幹となる考え方をまとめてみるとこのようになります。
志望校合格という目標を柱に据え、学力の向上のみならず、子どもたちが日々の学習を通して、「今の自分は何をしなければいけないのか」、「何ができるのか」、「どこまでできるのか」、「どうすれば継続できるのか」と、自分の今を自分で見つめてもらう。
子どもたちが自分の今を見つめるにあたり、多くの気づき、多くの視点、多くの立場があることを投げかけるとともに、どのような未来を子どもたちに託すのか、どう生きることを求めるのか、こういった話を先人として多く語る。
そして、子どもたちが自分の生き方を考える参考になれるよう、私自身が子どもたちに見られているという意識で日々を過ごすこと、子どもの目線に降りて話すのではなく、理由をしっかり説明して今の私の等身大の思いや考えを語ること。
子どもたちに夢を語らせる前に、大人である自分も、夢を描いて生きていることを伝える。
私自身が生き方を正すことで、子どもたちの未来が大きく変わると信じ、日々、子どもたちと向き合っています。
子どもたちそれぞれの未来が上向けば、社会全体の意識が上向きますよね。
そんな、お手伝いをすることが、この仕事の魅力です。
そういう思いを胸に秘め、ひのき塾の子どもたちと向き合ってきました。
とりわけ奈良教室では教室長・副教室長として7年間関わり、その間、奈良女子大附中や大教大天王寺附中などに多くの子どもたちが進学してくれたのですが、進学しただけでなく、先述の私の思いが、今、明らかに形となって現れ始めました。
3年前、当時中3の女子大附中に通うB君(小5から通塾)が生徒会長に立候補しました。
同じ学校に通うみんなにとって快適に通学できる学校づくりに貢献したい、との思いからです。
聞いたところ、副会長や書記は1人しか立候補者がいない信任投票だったのですが、生徒会長だけが2人立候補して、決戦投票になったのです。
しかも、その相手(C君とします)は、同じくひのき塾奈良教室で共に学んだ仲間でした。
授業中も熱気があり、とても仲のいい学年で、真の「仲間」なのです。
投票日の前に、B君のお母さまがひょっこりと塾に顔を出してくださり、そのことについていろいろとお話をしてくれました。
「本当はC君と一緒に生徒会をやりたかったこと。」
「でも、自分は会長としてやりたいことがあるということ。」
投票日の後、私は「どうやった?」とB君に尋ねたら、「当選しました…」と元気のない声で返事をしてくれました。
私はそれ以上何も聞けませんでした。
そして、数日前のこと。
高3になったB君(現在も通塾中)にふと聞いてみました。
「高校部では生徒会やらへんの?」
「僕はやりませんでしたが、Bが生徒会長をやってます」
その言葉に、私は心の中で涙が溢れかえってたまりませんでした。
自分の信念を貫き通す強さと、仲間を思いやる熱い気持ち。
私が日ごろから子どもたちに伝えていることは、自分を強く持つということです。
そのためには、自分でできることは全部自分ですること、どれだけ失敗してもいいからチャレンジしてみること、一度始めたことは(途中で形を変えてもいいので)続けてみること、このような話をずっとしています。
それを「勉強」を通して具現化してもらっています。
しかし、「仲間を大切にしろ」とは言ったことがありません。
自分の力で自分を高めた子どもは、同じように自分を高めた相手のことも尊敬できるのです。
だから、自分の考えを他人に譲ることもなければ、他人の考えをへし折ったりもしません。
受験というイベントが、個人の成長に一役も二役も買っているのでしょう。
さて、話は今から2か月前。
現在、女子大附中に通う中3のAさんから、「生徒会長に立候補しました」と一報をいただきました。
彼女が小6の時に、エネルギーの高さを感じた私は、「女子大で生徒会長やったら?」とふと伝えた言葉が現実になるのですから不思議なものです。
いや、不思議を通り越して、子どもたちの力をよりよい方向へと導くことが、私たち大人の役割だと痛感します。
ところが、彼女がもう一つ言うには、
「もう1人の会長候補がD君なんですよ」
D君は3年前にAさんと受験勉強を共にした仲間です。
忖度しない子どもたちの生き方。
ほんとうにみんな美しいですね。
そして、ここに書いた子どもたちだけでなく、ひのき塾から育っていく子どもたちみんなが、将来の社会を誰にとっても暮らしやすい、そして自己実現のできる世の中にしていってくれる。
それが、夢ではなく、もはや確信へと変わってきています。
子どもたちに夢を語り、子どもたちの得意とする力を伸ばし、子どもたちに未来を託す。
これは、ひのき塾だけでなく、すべての塾、学校、習い事教室、地域のこども会、そして各ご家庭、子どもたちに関わる大人の使命であると感じています。
【ひのき塾 北見の教育エッセイ】
〔第2回〕 年度初めの心がけ
暫く間が空いてしまいましたが、第2回となります。
前回、このコーナーの名称を「北見の教育随筆」としましたが、どうも重たく感じるので、今回は「教育エッセイ」と言い換えてみました。
しっくりくる名称が湧いてきましたら、また変更するかもしれませんが、どうかご容赦ください。
さて、新年度の授業が始まりました。
テキストお渡しに際しましては、どっさりと山積みされた冊子をお持ち帰りいただきありがとうございました。
それを手にしたお子様もズシリとくる重さに驚いたことでしょう。
そんなとき、決まってこう言うようにしています。
「重たいテキストも頭の中に叩き込めば、ほぼゼログラムで軽くなるよ。」と。
そう考えると、脳って力持ちですね。
お子様にもそのようにお声かけください。(笑)
今日、お話ししたいことは、4月の過ごし方、つまり年度初めの心がけです。
それを小4、小5、小6と学年別にお伝えします。
まずは小4。
多くの子がこの時期に一斉に入塾してくれました。
授業は週2回(もしくは3回)ではありますが、授業時間55分×2コマのため、学校の40分授業に慣れている子どもたちにとっては、かなり長く感じたことでしょう。
もちろん、飽きさせないよう、集中が続くよう、授業のリズムに抑揚をつけたり、時には雑談を交えたり、と私たちも工夫を凝らして子どもたちを導くよう心掛けております。
小4の1年間は、小5に向けてのステップの1年間です。
ひのき塾の「なぜそうなるのかにこだわる」授業を楽しんでもらえれば、それだけで十分です。
授業後、今日の授業の驚きを嬉々として語るお子様とその喜びを分かち合う瞬間は、学びの始まりでもあり、親子の思い出の1ページにもなることでしょう。
宿題につきましては、お子様がわからないようであれば一緒に考えてくださって構いません。
一人で解けるようになってきたら、採点だけをしてあげて、まちがったところを直させたり、一緒に寄り添って考える形をとっていただき、できるだけ自分の力で解けるように促していただければと思います。授業前にわからないところの質問も大歓迎です。
宿題をする日時を決めるところから習慣がつくられていきますので、早めに終わらせられるよう設定をお願いします。
保護者様にとりましても、お子様の初めての塾通いは不安や不明なことがあろうかと思います。
その際は、教室スタッフにお気軽にお声かけください。
どの教室の担当者も親身になってご相談に乗らせていただきます。
次に小5です。
週2回から週4回に通塾する日が増えるので、塾を生活の真ん中に据える時期の始まりでもあります。
この時期に入塾してくれる子も多数います。
小5の初めに意識すべきことは、何をおいても宿題です。
国語、算数、算数、理科、社会、表現国語、表現算数、全部で7つの宿題を1週間でやり遂げていくことになりますので、宿題をお子様に任せているだけでは、手順のまちがいなどもあり、宿題に追われるだけの日々になりかねません。
小5と言えば知的好奇心がむくむくと湧いてくる年齢なのですが、宿題に追われてしまうと、たとえ授業がおもしろい、勉強がおもしろいと思ったとしても、これから伸びるはずの芽がついばまれてしまいます。
そのため、宿題のスケジューリングが最優先課題となります。
理想は、授業終了後、塾に少し残って宿題を減らし、今回の宿題が重いのか軽いのかを感じた上で帰宅することです。
そして、土曜日の午前中や日曜日、授業のない平日に余裕をもって終わらせるよう、大まかな予定を立ててください。
時間をカチッと決めなくてかまいません。
おおよそで結構です。
残した問題、わからなかった問題は週末に仕上げたいので、取り掛かりは早いほうがいいです。
具体的には、算数は早めに仕掛け、逆に国語(漢字や言葉を除く)は授業の前々日くらいがいいでしょう。
私は、子どもたちの宿題忘れは極力叱らない、叱っても諭すように意識しています。
宿題忘れを叱ると、かえって塾に行きたくなくなったり、授業が始まるギリギリにやってきては、大急ぎで答えを写して見せに来るのが関の山だからです。
これでは、宿題の意義が薄らいでしまいます。
だから、宿題を忘れた子にはこう言うようにしています。
「授業まで残り〇〇分。今から解ける問題はこれとこれ。残りの問題は、授業後に残ってしよう。お母さんに、今日帰るのが少し遅くなると連絡しておいで。」と。
それともう一つ。
「宿題を忘れたものは仕方ない。やっていないことに気づいた時こそ、塾に早く来なさい。今からできることは何かアドバイスをあげるから。」
この2つです。
もう一つ、大事なことを言い忘れました。
小6では「自分のことは自分でする」と常々言い聞かせておりますので、小6に向けて、お子様を少しずつ手離していくのがこの1年の課題となります。
そして小6です。
理科と社会が分離してそれぞれ倍の時間となり、表現理科・表現社会という授業が加わります。
授業時数自体は、小5より少し増える程度ですが、問題のレベルが上がるため、宿題にも時間が掛かってきます。
それでも、小5でスケジューリングの大切さを学んだ子たちですから、自分のことは自分でスケジュールを立てて取り組まなければいけない時期です。
(サポートが必要と感じた場合は手を貸してあげてください。)
自分のことは自分で考えて行動しなければいけませんので、年度当初の授業ではこのように言っています。
・授業開始2週間で、どの先生がどのようなリズム・速度でどのような授業展開をするのか、また、どれくらいの分量の宿題を出すのか、意識して授業を受けよう。
・(学校が始まってから、)何曜日のどの時間でどの教科の宿題をするのが適切なのか、GWまでにスケジューリングをしよう。
・宿題や自習は極力を塾でしよう。塾は勉強をする場所、家庭はリラックスする場所と決めていると、家では心も体も安らぎます。
目の前の学習に意識を集中している小6の子たちは、今から受験までの10か月という時間がどれほどの長さなのか、また、どの時期に何をすればいいのかなど、先のことを考える余裕はあまりないでしょう。
そのため、私たちは、少し先の予定や計画を子どもたちに伝えるようにしています。
その際には、次の節目となるテストについて、予定・目標・計画・教材などをできる限り具体的に話して聞かせます。
こうして、目の前の学習に意識を集中して、スモールステップを積み重ねるなかで、受験のステージに立つ準備を着々と進めていきます。
「今は思い切って羽を伸ばしてもいい時期」
「次のテストが終わったら、ギアを一段あげて学習に力を入れなければいけない」
といった具合で、子どもたちの心と体のバランスを気に掛けながらリードしていきます。
最後に、小5、小6、とりわけ小6の子たちには、駸々堂学力テストの受験を勧めています。
・テストが復習となって、学習の穴の早期発見に役立つこと。
・模範解答を即日もらえるので、(答案用紙に自分の答案を書いておくことで)すぐに自己採点ややり直しができること。
・テストを何度もうけることで、テストの受け方(特に時間の使い方)を体得できるようになること。
他にも利点はありますが、継続して受験することで価値が高まります。
お申し込みは、「駸々堂テスト」と検索して、「マイページ登録」をしてらお申込みください。
登録の際に、ひのき塾コード「G06400」を入力していただくようお願いします。
登録されたお子様には、昨年度の駸々堂模試過去問をその都度お渡しします。
また、テスト結果を私たちも確認できますので、お子様に適切なアドバイス、やる気の出る励ましなどの声掛けをさせてもらいます。
今回は、短くまとめようと思いつつ、書き始めたら長くなり、保護者様のお時間を取らせてしまいました。
ここまで読んでくださりありがとうございます。
【ひのき塾 北見の教育エッセイ】
〔第1回〕 第1志望校ではないけれど…
初めまして。
ひのき塾の北見と申します。
私が教育に携わってまもなく30年、ひのき塾で教鞭を執り8年となります。
(普段は奈良教室での勤務が多いのですが、この1年は学園前教室や八木教室でも教壇に立っておりました。)
その間、多くの子どもたちを導く機会を得、子どもたちだけでなく、保護者様とも一緒に感動の合格を分かち合ってきました。
子どもも本気、保護者も真剣、そして私たち教える側も全力でぶつかり合った結果、一人ひとり忘れられぬドラマが、毎年、繰り広げられました。
そのようなドラマがどのように生まれるのか、その過程やエピソードなどを多方面から皆様にお伝えしたいと思い、筆を執ることにしました。
今後、不定期ではございますが連載しますので、気楽な読み物としてご覧頂ければと思います。
そして、多くの子どもたちが、学ぶことの楽しさを知り、大人になってくれることを願っております。
さて、現在、ひのき塾のどの教室ブログにも「中学入試合格作文」を掲載・更新をしておりますが、私からも一つ、皆様にご一読いただきたい男の子の作文があります。
彼(以後、A君)は、志望校からのご縁がもらえず、最後に受けた中学校に合格し、その中学校に通う決意を固めております。
そんなA君の作文です。
どうぞ、ご覧ください。
僕は、一番の志望校に行けなかったけれど、受験を通して手に入れたものはたくさんあります。たとえば、苦手なことへの向き合い方です。
今までは、苦手と認識したものは、ずっとそのまま放置し、いつまでたってもできないままでした。しかし、受験勉強を通して、それまで苦しくて遠ざけていたものでも、自分から立ち向かっていくようになると、苦手意識の壁を乗り越えられるように感じました。
また、6年生になるまでは「塾に行かされている」と思い、今から思えば、授業もまじめに受けていなかったけれど、受験が近づくにつれ、塾での自習時間を増やすようにしました。すると、塾で勉強していることが、ゲームや遊んでいるときより楽しいと思えるようになったのです。
このように、あえて苦しいことと向き合い、壁を乗り越えることで、塾が自分にとって必要不可欠なものにまでなりました。この喜びを知るきっかけを与えてくれたのは、いつも送り迎えをしてくれたり、お弁当を作って僕を支えてくれた親です。ありがとう。
A君が進学する中学校は、宿題もしっかりと出され、提出期限も厳しく、丁寧な学習が求められる学校です。
小5のときまでの彼なら、おそらく辛くて逃げたくて、通学することも苦しくなっていたかもしれません。
でも、A君の算数のノートをずっと見ていると、夏から秋、秋から冬にかけて、どんどんと研ぎ澄まされていくことに私は気づきました。
初めの式、途中式、図、間違えた時の修正の仕方、いわゆる「できる」子のノートへと変わっていったのです。
また、何度も何度も消した跡形からは、かなりの時間を掛けて一問に取り組んだことも見て取れました。
算数のノートは自分との対話そのものが形となって現れます。
心穏やかに取り組んでいるか、面倒くさがらずに丁寧に頭を回転させいているか、計画的に早めに仕掛けて時間の余裕をもって取り組んでいるか、1週間の生活の様子を垣間見られるのが算数のノートです。
A君のノートからは、「合格したい」「真剣に勉強に取り組みたい」というそんな思いが感じ取れたのです。
彼のノートを見て、一瞬、涙が出そうになったほどです。
第1志望校には合格できなかったものの、最後に受けた中学校に合格したことを知らされた私は、A君の隣に寄って行き、こう言いました。
「君にぴったりの学校に合格できたね。おめでとう。受験勉強で君が得たことはたくさんあったね。」と。
彼は黙ってうなずいていました。
おそらく、自分にとって納得のいく受験だったのでしょう。
3年後には、また受験があります。
でも、もう何も心配していません。
3年前、志望校に合格できずに涙を飲んだものの、A君と同じようにコツコツと学ぶことの大切さを体感した2人の先輩の近況を報告しましょう。
1人は、現在もひのき塾に通う男の子です。
彼は、1月の塾内実力テストで、難関国立中学に通う子たちを抜いて、なんと教室順位1位になりました。(小6のときは真ん中より下でした)
現在、私立高校も無事にパスし、本命の公立高校に向け、自信あふれる目で勉強に邁進しています。
もう1人は、つい先日、「高専に合格しました」と挨拶に来てくれた男の子です。
小6の春に入塾したものの、算数の問題がなかなか解けず、いつも居残りで勉強をしていた子です。
その子が、高専合格を報告してくれた際、「中学校で数学が得意になって、五ツ木模試では偏差値が70を超えました。」と、更に嬉しい報告をしてくれました。
そういえば、小6のときも、算数の問題とにらめっこし、最後まで「うーん、うーん。」と一問を前にして考え込んでいた姿を思い出します。
その取り組む意識こそが、正しい算数との向き合い方だったのですね。
彼は、諦めるということを知らなかったのです。
このように、かけがえのない体験をした先輩たちと同じ道を、A君も歩んで行くのでしょう。
大丈夫。
3年後には、今よりももっともっと逞しい青年になっている姿が先生の目には映っていますよ。
では、また次回。