雨上がり 急になきだす せみの声 そらにかかった 七色のはし
こんにちは、奈良教室の千原です。
最近はものすごく暑い日が続いたと思ったら、雨も降ったりやんだりです。
そんな日のちょっとしたよろこびを感じられる短歌を紹介いたします。
「なんで突然、短歌?」と思われたかもしれないですね。
実はこれ、奈良教室に通っている小学生の作品なのです。
黄昏の 赤い夕陽に そまる街 すぐに過ぎ去る 時の流れよ
小学6年生の国語の授業で、歌人の俵万智さんの文章を学習しました。
そこで宿題に「色を入れた短歌を2首作る」を追加したのです。
翌週、子どもたちがどんな歌を詠むのか楽しみにしておりました。
正直、びっくりしました。子どもたちはみんな、僕の想定を超えてきました。
上の短歌なんて、小学生とは思えない言葉の使い方です。
赤い糸 つながりたいな あの人と はずかしながら 愛の告白
純粋な気持ちを表現した、良い歌ですね。
短歌は31音の詩です。実は僕も生徒といっしょに作ったのですが、これがとても良い表現力の勉強になるのです。
限られた音数の中、自分の気持ちに合ったことばを選びます。使うことばによって印象は全然ちがいます。
もちろん、語彙力が求められます。しかし、むずかしい古臭いことばを使えばよいというものではありません。
ことばだけでなく、時には、かなの音の印象も考えます。そして一定の音数でリズムを作ります。
字数制限の中、適切なことばを選ぶ。実際の試験でも、国語の問題はそういうものばかりです。
漆黒の 空に散りばむ ほたるかな 澄んだ川岸 せせらぎの音
これも、キレイな光景が目に浮かぶようで、よくできた歌です。
みんな、授業で習った比喩や倒置法、体言止め、句切れや切れ字も効果的に使ってくれています。
きっとほんとうに一生懸命、たくさん考えてくれたのだと思います。実に子どもたちの表現力の向上を実感できました。
子どもたちはスポンジのようなもので、どんどん吸収していきます。
だからこそ、この時期に真摯に勉強と向き合うことに、大きな価値があるのだと思います。
薄青の 空に広がる 大きな気持ち 夕日と混じり 明日につながる
あえての破調ですが、「大きな気持ち」が夕日と混じって「明日につながる」というのは、本当にユニークな表現ですね。
近年の国立中学受験では、このような子どものユニークな発想を大切にしています。
日ごろの読解や表現の授業でも、そういった発想を伸ばしていってあげたいと思っています。
あいぼうと 手つなぎのぼった 坂みちと まなびやを背に そつぎょうの日
今回の、個人的に僕のいちばん好みの歌です。(まだ卒業シーズンではないですが)
たったこれだけの音数なのに、あいぼうに対するやさしさと、卒業の切なさをしみじみ感じられないでしょうか。
このように、ひのき塾奈良教室では、子どもたちの表現力向上のため様々な取り組みを行っております。
まさに伸び盛りな子どもたちの手助けになるよう、今後も講師一同、全力で対応していきます!